スペース表現領域では、建築、インテリア、都市計画といった、
モノやハコを創る技術・知識を得るだけではなく、
「人間の感覚」にフォーカスし、
独自の視点から「空間の経験」を創造することについて、
様々な実習・演習を通して学びます。
ここでは、1〜4年生までの
学びの流れや、主な授業をご紹介します。
人間工学や製図、縮尺模型制作、3Dグラフィックスなど空間表現の基礎となる技法を学びます。また、空間を考えるための新しい体系として「プリミティブスペース(原初の空間)」「テンポラリースペース(瞬間の空間)」「イマーシブスペース(没入する空間)」という3つの概念の基礎を実習を通して身につけます。
1年次授業例1年次で学んだ基礎を踏まえ、演習やプロジェクトを通してより深く学び、発展的な表現へとつなげていきます。前期では生命維持のための原初的な空間体験から、コミュニティ空間での表現、演劇やゲーム、映像、VRなどの没入型空間までを学び、後期ではそれらを総合して、自らの専門性を模索していきます。
学内外の連携プロジェクトを通じて自分の表現が社会とどのように結びつくのか、実践的に考えていく3年次。様々な空間思想にも触れ、空間の捉え方について深い視点を養っていきます。後期からはアート系、デザイン系、言論系のゼミに所属し、卒業制作に向け空間に対する自身の専門性を高めていきます。
ゼミやプロジェクトベースの学びを通じて、それぞれの専門性を追究していく4年次。4年間の集大成となる卒業制作では、社会を豊かに革新するクリエイター/プロデューサーとして、インスタレーション・アート、舞台美術、映像美術、地域デザイン、エンターテインメントデザイン、VRなど様々なアプローチで、自身の表現を社会に発信していきます。
※ご紹介している授業は一例です。他にも様々な実技科目を設置しています。
「プリミティブ」は日本語で「原初の」といった意味です。この授業では、空間の原初、つまり「ある人がある場所を特別な居場所として認識する瞬間」にその人の内で、あるいはその周囲の環境で何が起こっているのか、様々な演習課題を通して考えます。課題のテーマとして「焚き火」「隠れ家あそび」「まいご」といった空間の原体験としてしばしば挙げられる事象について取り上げます。
授業課題イメージ:
短期大学部 デザインコース 金澤瑞葵
「テンポラリー」とは日本語で「つかの間の」「瞬間の」といった意味です。この授業では同じ空間がその瞬間瞬間でどう表情を変えるのか、時間帯の違いや、そこで起こっている出来事の違い、居合わせた人の違いを観察しながら考えます。課題のテーマとして「光」「配列」「出来事」といった仮設的、瞬間的に空間を変容させる要素について取り上げます。
授業課題イメージ:
短期大学部 デザインコース 後藤沙奈
「イマーシブ」は日本語で「没入する」という意味を持ちます。この授業では夢中になって没入できる空間体験にはどんな可能性があるのか、様々な演習課題を通して探っていきます。課題のテーマとして「舞台」「VR」「アミューズメントパーク」といった非日常を演出する表現分野を取り上げます。
授業課題イメージ:
短期大学部 デザインコース 大池玲奈
「プリミティブ」「テンポラリー」「イマーシブ」という3つの空間に対する考え方を学んだ後、それらを実際の生活のなかでどのように展開すればより豊かな経験をつくることができるのかを、実践的な課題を通して考えます。「休息」「活動」「出会い」といった人間の生活に不可欠な要素を課題テーマとして取り上げ、学生それぞれの興味を大切にしながら考えます。
授業課題イメージ:
ヒデミニシダ「ちゃばらのカーテン」
(Photo:鈴木竜一郎)
これまで学んできた知識と手法をベースに、社会に存在する実際のシーンや課題を取り上げ、それらをより豊かなものにするためのプロジェクトを立ち上げます。この授業ではアート・デザイン表現学科の他領域ともコラボレーションしながら、具体的な提案や解決策を社会に向けて発信します。
授業課題イメージ:
アート・デザイン表現学科
「ぬくりアート回廊プロジェクト」
3年生の後期からゼミナール形式の授業が始まります。これまで学んできた様々なアプローチや自身の興味、経験から、自分が深く研究したいと思うテーマを見つけ、それを深めていきます。こうして見つけた自身の研究テーマについて4年生の後期では、研究者またはクリエイターとして自分のアイデアや研究成果を作品や提案書、論文といった形にまとめ、発表します。
授業課題イメージ:
アート・デザイン表現学科
「ぬくりアート回廊プロジェクト」
芸術は社会をどのように反射してきたか、そして社会はそのリフレクションをどのように感受し、振る舞ってきたか。芸術家が社会と対峙するときの姿勢と社会がそれを受け取るときの作法について、芸術家の社会彫刻的視点と行政の政策的視点の2つの観点から考察します。
人がそれぞれに経験するナラティブ(出来事や課題、情報)は、世界の至る所でノンリニア(非線形)的に点在し進行しています。自分の知らない場所で起こっている自分の知らないナラティブに触れ、それらをどのようにつなげていくかがクリエイターの役目の一つでもあります。
スペース表現領域では、4年間を通じて様々な実技課題に取り組んでいきます。
個人制作、グループワーク、他領域との共同制作まで。多様な制作を通じて表現力を磨き上げていきます。
※紹介作品は他専攻の学生による参考作品です。
2023年度 ヒーリングデザイン実習A 4班作品
2023年度 ヒーリングデザイン実習A 7班作品
2023年度 ヒーリングデザイン実習A 5班作品
アート・デザイン表現学科メディア表現領域 小川奈穂
短期大学部 デザインコース 松本来夢